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誇るべき歴史を未来へ。「3年以内でリーグ優勝」を掲げ バレーとバスケ、共同使用の新アリーナ移転へ ~8/25 新体制発表会~

74年の歴史を、これからの未来へ。

8月25日、クインシーズ刈谷は新たな一歩を踏み出した。

三河安城駅前にあるホテルグランドティアラ南名古屋で開催された、新体制発表会。
大同生命SVリーグ2年目のシーズンに向け、新監督や新加入選手、新たなユニフォームがお目見えされる貴重な機会であるだけでなく、クラブとして新たに踏み出す一歩はただの一歩ではなく、未来へとつながる大きな一歩であることを示す、記念すべき1日となった。

さらなる成長、可能性に向け踏み出す決意

まず登壇したのは、北河英典・クインシーズ刈谷代表と、荒木絵里香・チームコーディネーター。
「未来構想」と題し、北河代表から1951年の創部から2000年のV1リーグ昇格、さらには06年に当時のトップカテゴリーであるVリーグへ昇格を果たし、皇后杯、黒鷲旗で日本一の称号を手にしたクインシーズの輝かしい歴史が語られた。

“女王”とスペイン語で「6」を表す“seis”を組み合わせ、コートに立つ6人の選手が女王のように輝くように――。
クインシーズという名前の由来について触れた後、これまでの歴史をさらに発展させるべく、未来に向けた決意を北河代表は高らかに宣言した。

「私たちはさらなる成長を目指し、プロチームとして今日この日から踏み出す決意をいたしました。地域の皆さまに支えていただいた長い歴史に感謝を伝えるとともに、恩返しの一歩。地域に根差し、スポーツの力で感動を与え、子どもたちの夢、希望を与える唯一無二のチームになること。“つなぐ”スポーツであるバレーボールで、多くの皆さんを笑顔にしたい。より多くの皆さまに応援いただくチームになるために、3年以内でリーグ優勝を果たしたい、という目標を掲げました。」

北河代表の熱いメッセージに続き、荒木さんも自らの経験、人生に基づきクインシーズ、そして女子バレー、さらには女性スポーツ全体が持つ魅力や可能性について話した。

小学5年生からバレーボールを始め、2003年に日本代表初選出を果たして以後、北京、ロンドン、出産を経てからリオデジャネイロ、東京と四大会の五輪に出場した。日本国内でもさまざまなチームで経験を重ね、16年から21年の引退までクインシーズでプレー。

対戦相手として向き合って来た時代は、クインシーズに対して「どんなに劣勢でも諦めずに粘り強く戦い抜く、“怖い”チームだった」と明かし、Vリーグ昇格後に降格の危機に見舞われながらも一度も落ちることなくトップリーグで戦い続けたのも「諦めないスピリットがあってこそであり、その精神は今のチームにも受け継がれている」と明言。

若手選手の多いチームでスタッフとして携わる幸せに触れ、これからに向け、伝統を大切にしながらも新たな挑戦を。来たる未来に向けた願いも述べた。

「バレーボールの最大の魅力は“つなぐ”こと。ボールを落としてはいけないというシンプルなルールの中で、声を掛け合い、動きを合わせ、思いを共有しながら1つのボールと思いをつないでいく。『つなぐ』という概念はスポーツを越えて地域、社会、世代をつないでいくものだと信じています。1964年の東京(五輪)、東洋の魔女からバレーボールは長く、多くの人に愛された競技です。これからも人をつなぎ、地域を活性化、社会に貢献する手段としてさらに進化する中で、先頭に立ち、スポーツの力で未来を照らしていく存在になっていけるように。選手、スタッフ、ファン、地域、それぞれの立場から歩みを一緒に、盛り上げていけたら嬉しいですし、愛される存在であるために挑戦を続けていく。そこから生まれる感動、心が震える瞬間を一緒に味わって下さい」

 

酒井新監督「成長を楽しんでもらい、地域に愛されるチームに」

熱いメッセージに続き、2025-26シーズンを戦う選手、スタッフが登壇。
代表して、今季から就任した酒井新悟監督、鴫原ひなた主将、吉永有希副将が決意を述べた。

教員経験も持ち、男女両チームを率いた経験を持つ酒井監督は「プロ化に向けて舵を切るチームの歴史的な瞬間に立ち会うことは、非常に身が引き締まる思い」と述べ、北河代表が掲げた3年以内でのリーグ優勝という目標に向け「勝つこと、結果を残すことはもちろん、成長を楽しんでもらいファン、地域に愛されるチームになるように。
クインシーズ刈谷の未来を地域、ファンの皆さんと築き上げていきたい」と笑顔で語った。

鴫原、吉永両選手は少々緊張の面持ちで登壇したが、互いに自らの言葉で今季のスローガン「旋風」に込めた思いや、今季へ向けた決意を述べた。

「熱が上昇気流を産み、周囲を巻き込み激しく吹く風のように、粘り強いプレー、1人1人の魅力で応援している皆さんと共に旋風を起こしたい。魅力が伝わるように心からバレーボールを楽しみ、進化を続けられるチームになるように。シーズンが終わる頃には応援してよかったと思えるように、チーム一丸となって頑張りたいです」(鴫原主将)

「経験が浅い自分を支えて下さる方々の力を借りながら、成長できるように。個人としても「つなぐ」をテーマに掲げて、プレーの安定はもちろん、積極的に会話をして人と人をつないでチーム全員が前を向いてプレーできる行動、発信をしたい。うまく行く時、行かない時もチームが1つになって旋風、大きな渦になって前に進んでいきたいです」(吉永副将)

続いて、ホーム仕様とアウェイ仕様の新ユニフォームをまとった髙佐風梨、笠井季璃が登壇。
ユニフォームスポンサーへの感謝を述べた髙佐選手は「バレーボール、クインシーズの魅力が伝わるように頑張りたい」と話し、笠井選手は新たに施されたゴールドのラインを指差しながら「全員がゴールドのように輝いて、ゴールドの景色が見られるように頑張りたい」と意気込みを述べた。

 

バレー、バスケと共に地域を盛り上げる新アリーナ

さらにもう1つ、新体制発表に続いて発表されたのが28年開業予定のホームアリーナについて。
三河安城駅前に完成予定である三河安城交流拠点をホームアリーナとし、バスケットボールBリーグのシーホース三河と共同使用することが発表された。

全国各地に新アリーナが建設、開業されているが女子バレーボールチームと、バスケットボールチームが互いに新設、民間設営のホームアリーナとして使用するのは全国初めての試みとなる。
交通の便に優れ、社会全体で子どもを育み、活気ある街づくりの象徴としてスポーツ、バレーボールを通してさまざまな人たちとつながっていく。


SVリーグが掲げる地域共存、発展の理念にも基づいた新たなスタートでもある。

ホームアリーナの移転に伴い、28年からは安城市が新たな拠点となることも併せて発表され、三星元人・安城市市長と白井博・三河安城交流拠点建設募金団体代表理事も登壇。
クインシーズが魅力あるチーム、クラブへと発展を遂げることで地域に与える好影響に期待する声や、世代や立場を超えた新たな交流拠点である新アリーナで熱狂、感動を味わうための大きな一歩が刻まれた喜びの声が述べられた。

SVリーグの大河正明チェアマンからも「バレーボールが日常に根付き、バレー、バスケ、スポーツで活気あふれる社会をつくってほしい」とエールが送られた。

会の最後には松尾勝博・トヨタ車体代表取締役社長と、三星安城市長による連携協定締結式も行なわれた。
地域とクラブが互いに手を取り合う、包括連携協定の提携によって、バレーボール教室や学校での出張授業など、未来を担う子どもたちと接し、想像力や社会性を育む場も今後はますます増えて行く。

クインシーズ刈谷が女子バレー界に、さらには愛知県の象徴と言うべきクラブへ成長を遂げるために。
踏み出された新たな一歩は、未来へとつながる大きな一歩となるはずだ。

 

Photo:Yukihito Taguchi
Writer:Yuko Tanaka

 

【クインシーズ刈谷の未来構想および2025-26シーズン新体制発表会】アーカイブ配信
https://www.youtube.com/watch?v=6IbM5liy_hA